『採光』ってなに?建築規制だけじゃない、大事な新居の日当たりのこと

快適な住まいを作るには住宅での光の扱い方を考える必要があります。

住宅での光と言うと人工照明を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、自然光についてもしっかりと考えることで照明を使わずに過ごす時間が長くなり電気代の節約につながる、太陽の動きに合わせて生活リズムを整えられるなど様々なメリットがあります。

そこで今回は自然光を採り入れる採光について解説していきます。

採光とは

採光とは自然光を室内に採り入れることです。

採光には太陽が直接当たる直射日光だけでなく、大気に含まれる水蒸気や塵などによって拡散された光や雲から反射された光など天空のあらゆる方向から地上に到達した天空光も含まれます。

採光に関する決まり

採光について完全に自由に決められるかと言うとそうではありません。
採光には建築基準法で定められた決まりがあります。

有効採光面積

建築基準法で人が暮らす部屋には採光のための窓が必要と定められており、その窓は一定の基準を満たした大きさである必要があります。
この必要と定められている開口部の広さことを有効採光面積と言い、住宅では有効採光面積は居室の床面積の7分の1以上必要です。

有効採光面積は窓の大きさそのものではなく窓の面積に採光補正係数というものをかけて求めます。式に表すと次のようになります。
 
有効採光面積 = 窓の面積 × 採光補正係数

採光補正係数

採光補正係数とは光の入りやすさを示すもので「建物の建っている地域」と「窓をつける位置」によって決まります。

建物の建っている地域

建物の建っている地域について具体的にいうと用途地域というものが関わってきます。用途地域とは計画的に市街地を形成していくために用途に応じて分けられたエリアのことです。

 大きく分けると住居系地域、商業系地域、工業系地域、無指定地域がありどの地域かによって採光補正係数が異なります。
住居系地域では他の地域より採光補正係数は小さくなり、日当たりが重視されます。

窓の位置

窓の位置は隣地境界線から建物の軒先までの距離(d)、建物の軒先から窓の中心までの高低差(h)の2つで判断されます。
隣地境界線は隣の敷地との境のことでそこに建物が離れて距離(d)が大きくなると光は入りやすくなります。
また窓の位置が高く(高低差(h)が小さく)なると部屋の奥まで光が入りやすくなります。

日当たりを大事にされる方へ

建築基準法の採光に関するルールを読んで気付いた方もいるかもしれませんが、窓が南向きでも北向きでも同じ基準で有効採光面積が計算されます。
また、隣地境界線のすぐ近くに隣家が建っていても、建築基準法上の採光には全く関係が無く、実際に遮蔽物により日当たりが悪くても適法になります。
つまり、適法の建物を建てているからといって日当たりが十分確保される保証はなく、そこは希望に合う物件を見極める必要があります。

マンションでも戸建でも購入した時は目の前の土地が駐車場でとても日当たり良かったのに、そこに大きなマンションが建って日当たり悪くなってしまった、と言うケースは少なくありません。それでは、将来にわたって日当たりを確保するにはどうしたらよいでしょう。

目の前の土地が、公園、広い道路、河川、といった公共性のあるものは将来にわたってそこに大きな建築物が立つ可能性はとても小さいです。ですが、そのような物件ばかりではないでしょう。
そんな時は、ぜひ不動産屋など専門の人に相談してください。用途地域、絶対高さ制限、日影規制などから、目の前の土地に建てられる建築物を想定することができます。
知って買うのと知らずに買うのではとても大きな違いがあります。日当たりへの影響を知ることが安心につながりますし、知っていれば買った後に後悔することもありません。

終わりに

今回は採光の決まりに関することを中心にご紹介しました。

聞き慣れない言葉や計算が出てきて考えることが億劫になってしまう方もいるかと思います。しかし大事なのは快適な生活をイメージすることです。

建築基準法を守った上で部屋の使い方や生活スタイルをしっかりイメージして光環境を計画しましょう。是非採光を活かした快適な住まいを実現してくださいね。