坪数に適した土地活用のススメ|坪数ごとの土地活用の種類と注意点

相続などで土地を手に入れても、その土地は放っておくとただ税金だけがかかってしまう厄介なものです。とにかく税金分くらいは稼ぎたいという気持ちは出てくるでしょう。
 
しかし実際には「土地の坪数が少ないから」、「キレイな長方形ではないから」など、活用できずに放置されたままであることも多いようです。この記事では、大まかな坪数ごとの活用方法と重視すべきポイント、土地の法規制について解説します。

土地活用で重視すべきポイント

まずは坪数にかかわらず、土地活用で重視すべきポイントをおさらいしましょう。土地は広さによって活用の選択肢が大きく変わりますが、大切なのは「どの選択肢を選ぶか」よりも「どう活用できるか」であるといえます。

収益性があるかどうか

最も重要なのは、その活用方法に「収益性があるかどうか」です。土地は所有しているだけで固定資産税などで出費がかさむため、何らかの方法で収入を得なければ、いずれ資金が底をついてしまいます。だからといって、月単位の高い収入を狙って初期投資やランニングコストのかかる方法で活用しても、結局は出費がかさんで活用しないときと同じ状態になるかもしれません。

収益性が高いということは、支出よりも収入が多く手元に資金が残り続ける状態です。100万円の収入が得られても、110万円の支出が必要では活用していることにはなりません。収益性を計るには、金額にかかわらず活用で発生する収入と支出をすべて加味し、計算して正確に把握しておくことが大切です。

活用方法の注意すべき点を正しく理解する

土地を活用するには、メリットだけではなくデメリットがあることをきちんとわきまえておく必要があります。

例えば、賃貸アパート経営では複数の部屋を貸すことで毎月の家賃収入が得られますが、空き部屋分の収入はありません。空き部屋が増えてしまった場合、ローンを返済すると手元にほとんど残らないことも充分あり得ます。ほかにも設備の維持管理にかかる費用など、収益にとってマイナスとなる「デメリット」要素は数え切れません。

大切なのはデメリットをきちんと理解し、あらかじめ対処しておくか備えておくことです。賃貸アパート経営でいうならば、家賃の徴収やトラブル対処、設備の維持管理をすべて不動産会社に管理費を支払って委託することや、設備の補修に備えて保険をかけておくことがその備えにあたります。

うまく土地を活用するには、デメリットを正しく理解してできる限り事前に対処しておくことが大切なのです。

坪数に適した土地活用の種類

一般的に土地活用の方法は、坪数が多いほどさまざまな種類から選ぶことができます。とはいうものの、いくら広くても土地の形によっては制限されることも少なくありません。ここでは土地の坪数を3段階に分け、それぞれの広さに応じた土地活用の種類について解説します。

30坪未満は活用方法が限られる

明確な数値の定義はありませんが、一般的に30坪未満の広さの土地は「狭小地」と呼ばれます。これは、2018年に住宅金融公庫が実施した調査による「注文住宅の全国平均の住宅面積」である約38坪よりも狭いといえばわかりやすいかもしれません。建売住宅の平均面積に近く、これより狭くなると活用方法は限られてきます。

この広さで土地を活用するならば、次のような方法が考えられます。

駐車場(自動車・バイク・自転車)

地面に線を引いただけの月極から、アスファルトを打ちパーキングメーターを設置する本格的なものまでさまざまで、自転車やバイクなら5坪で約15台分、自動車なら10坪で2台分が確保できる

自動販売機やコインランドリー

自動販売機は本体が設置できるスペース、コインランドリーは約15坪あれば可能だが、自分で管理するかどうかで得られる収益が変わる

土地だけ貸す

交通量の多い道路沿いの土地ならロードサイン、日当たりのよい土地なら事業用太陽光発電に活用できる

建物付きで貸す

小規模の建物でコンパクトな飲食店やショップ、少人数用の戸建やアパートとして賃貸としての活用が可能 

上記はどれも土地活用の「案」ではあるものの、収益構造はまったく違います。また立地によってニーズもかなり異なるため、これらの要素を総合的に検討して活用法を選ぶ必要があります。

30坪から住宅や施設への活用が可能に

30坪あれば、住宅を含めた建物へのニーズに応えることができるようになります。飲食店ならばイートインスペースが作れるでしょう。アパレルなどのショップも豊富な品揃えが可能になり、ちょっとした倉庫を兼ねた事務所として利用することもできます。30坪未満で挙げた方法も可能なので、より大きな収益が期待できます。

駐車場(自動車)

入出庫しやすいことが前提。周囲のニーズによって適切な料金を設定すれば高収益が期待できる

戸建・住宅兼用店舗の賃貸

40坪あれば戸建住宅として、50坪以上なら住宅兼店舗として賃貸すれば長期にわたる収益を得ることができる

アパート経営

坪数が少ないと確保できる戸数も少なくなるが、1年単位での安定した収益を得られる

コインランドリーなどの施設を経営

駐車場のある広めのコインランドリーやコワーキングスペースの経営が可能だが、周囲のニーズに合うかどうかの調査が必要

30坪未満の狭小地に比べると、より幅広い賃貸ニーズに対応できる広さです。50坪以上あれば駐車場や自動販売機など別のものを併設することもできます。

100坪以上なら大型施設やマンションも

より広い100坪以上になれば、大規模な賃貸物件や施設としての活用が可能になります。

マンション経営

1室1スペースの駐車場を確保すれば賃貸ニーズは高い

複数棟のアパート経営

最近よく見られる駐車場やちょっとした公園まであるゆったりとした雰囲気の集合住宅

太陽光発電システム

建物賃貸のニーズがない、または土地の形がいびつな場合におすすめ

老人ホーム経営

賃貸ニーズが少ない郊外でも駐車場など一定のスペースがあれば可能

土地が広ければ、複数の店舗や住宅として賃貸活用することも可能です。それだけ維持管理にも手間がかかるものの、管理会社などへ委託すれば安心して活用できます。

土地活用の法規制に注意

自分の土地とはいえ、どのように活用してもいいわけではありません。土地には法律でさまざまな制限が設けられており、それに則した活用法に限られてしまう場合があるからです。ここでは3つの法規制について解説します。

土地の用途に関する制限

例えば、土地が空いているからといって、静かな住宅地に騒音のひどい娯楽施設が建つと、周囲の住民の生活が脅かされる可能性があります。そんな不具合が起きないよう定められているのが都市計画法です。都市計画法では地域ごとに定められた用途によって建てられる建物の種類が制限されるため、いくら自分の土地でも自由に何でも建てられるわけではありません。

用途別に「用途地域」として住居系、商業系、工業系など全部で12種類に区別され、一般的に閑静な戸建住宅街であれば「第一種低層住居専用地域」として特に厳しく制限が課せられており、コンビニやラブホテルといった店舗はもちろん、住居でも日当たりが悪くなるような高いマンションは建てることができません。

しかし「第一種住居地域」と呼ばれる用途地域には、3,000平方メートル以下であれば店舗やホテル、事務所を建てることができるとされています。用途地域はかなり厳密な制限を課しているため、土地活用する際にはどの用途地域に含まれるかを調べ、可能な用途を知ることが大切なのです。

建物に関する制限

用途地域では、土地の上に建てる建物にも一定の制限を設けています。建築基準法では用途地域ごとに建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)と容積率(敷地面積に対する延床面積の割合)に上限を定めており、これを超える建物を建てることができません。つまり、同じ広さの土地でも用途地域によって活用できる範囲が変わる可能性があるということです。

また、活用する土地が防火または準防火地域の場合には、耐火または準耐火建築物、もしくは部分的に防火構造にしなくてはなりません。そうすると一般的に建築コストが20%アップするといわれ、収益構造に大きく影響する可能性があります。特に、狭小地は防火・準防火地域に該当することが多いので注意が必要です。

接道義務を満たしているか

建物を建てるには、前面が2メートル以上の道路に接していなくてはならないという、建築基準法で定められた「接道義務」を満たす必要があります。もしも道路の幅が4メートル(または6メートル)に満たない場合には、道路境界線を敷地側へセットバックしなくてはならず、それだけ活用できる面積が少なくなってしまいます。

終わりに

土地の活用方法には広さや立地、周辺のニーズなどさまざまな要素が絡むことから、どれかひとつを選ぶのは簡単ではありません。特に坪数が少なかったり形がいびつだったりすると、どのような活用方法があるのかわからず途方に暮れるのも当然です。とはいえ、土地は放っておいても税金が徴収される厄介なものです。せっかく持っているのならば、なんとか活用して収益を得たいものです。

土地活用は、土地の広さや用途地域によって方法が限られます。活用する前にその土地で可能な用途を調べ、立地やニーズから収益性のある活用方法を選ぶとよいでしょう。もしも建物を建てるならば、用途地域による制限も加味しつつ、かかるコストも含めた収益見込みを定めることが大切です。

土地活用を考えている方は、ぜひ弊社にお気軽にご相談ください。所有されている土地の状況に合わせてより良い方法を検討、提案させていただきます。